四国の霊場八十八ヵ所
阿波の国・徳島県の霊場
第21番 太龍寺(たいりゅうじ)
太龍寺は延暦17年(798年)、桓武天皇(在位781~806年)の勅命により、阿波国司・藤原文山が伽藍を建立し、弘法大師が刻んだ虚空蔵菩薩を本尊として開基しました。
若き日の弘法大師が一人の僧に出会い、虚空蔵求聞持法を授けられた際に「阿波国大滝岳」や「土州室戸崎」で一心不乱に勤行しました。
この地(大滝岳)は、弘法大師が19歳の時に山岳修行したところとして有名です。
その後、一時荒廃しましたが弘法大師が52歳のとき、淳和天皇(在位823~833年)が、さらに後には白河上皇が東寺の別当長範に命じて再興させました。
太龍寺は標高618mの大龍寺山頂近くにあります。
3kmの急な参道は、第12番 焼山寺、第20番 鶴林寺と続いてきた「阿波の三難所」の最後の難所です。
参道には、南北朝時代の丁石が18基残っています。
現在は、平成4年(1992年)に完成したロープウエイで、山頂まで行くことができるようになりました。
わたしも、鷲敷町にある麓にくるまを置き、ロープウエイで登りました。
ロープウエイから紀伊水道がきれいに見え、その向こうに和歌山まで見渡せました。
広大な境内は、樹齢数百年を超える杉の木で覆われています。
太龍寺は古来より「西の高野」として、篤い信仰を集めています。
ロープウエイ山頂駅の脇からは遊歩道が延び、弘法大師が虚空蔵求聞持法を修行したという南舎心ヶ嶽に出ます。
虚空蔵求聞持法とは、法に則って虚空蔵菩薩の真言を百万回唱えれば、見聞したところ一切を忘れないという秘法です。
納経所の右側、持仏堂の天井には龍の絵が描かれています。
道端に
佇み遍路(ひと)の
面影しのぶ
(歌碑)
第21番 舎心山 太龍寺(しゃしんざん たいりゅうじ)
徳島県阿南市加茂町龍山2
JR牟岐線立江駅から約30km
徳島自動車道・徳島ICから国道55号を南下、さらに国道195号を西へ。約1時間40分。
御詠歌 太龍の常にすむぞやげに岩屋 舎心聞持は守護のためなり
本尊/虚空蔵菩薩 宗派/高野山真言宗 開基/弘法大師 宿坊/なし
次の第22番札所・平等寺まで約12.7km、車で約25分