四国の霊場八十八ヵ所
伊予の国・愛媛県の霊場
第42番 佛木寺(ぶつもくじ)
大同2年(807年)、弘法大師がこの地を巡り歩いていたところ、牛を引いている老人に会いました。
その老人は弘法大師に牛に乗るように勧めました。
弘法大師は牛の背に乗り歩を進めていると、楠の大木の枝に宝珠が引っ掛かっているのを見つけました。
この宝珠は弘法大師が唐に留学していた時、有縁の地が選ばれるようにと、三鈷と一緒に東へ向けて投げたものでした。
弘法大師はここが霊地と悟り、その楠で大日如来を刻み、眉間にその宝珠を納め本尊にしました。
山号の「一か(王へんに果)」とは一つの宝珠という意味です。
こういう由来のあるせいか、のちに「大日さん」と呼ばれ、牛馬の安全を祈願する寺にもなりました。
境内にはさまざまな牛馬の像が並んでいます。
旧暦6月丑の日には、人や牛馬の病気をキュウリに封じ込め、身代わりに川に流す「キュウリ封じ」が行われています。
本堂は享保年間(1716~1736年)に建てられたもので、ほぼその当時の形をとどめています。
本尊の大日如来は右手で左手の指を握っており、智の世界に生きる、賢明で厳かな雰囲気が漂っています。
佛木寺の弘法大師像には、「正和4年10月5日開眼」という胎内銘があることがわかりました。
これは鎌倉時代末期のことであるから、最古の胎内銘入り大師像ということになります。
龍光寺から佛木寺へ続く街道は、約1.8kmにわたって、春にはチューリップ、夏にはサルビア、秋にはコスモスが植えられています。
開花時期には、色とりどりの花が眺められます。
お寺の掲示板に墨字で次のような紙が貼ってありました。
善い人に会って
教えられ
悪い人に会って
反省すれば
善悪ともに
有難い
第42番 一か山 佛木寺(いっかざん ぶつもくじ)*か=(王へんに果)
愛媛県宇和島市三間町則1683
JR予讃線宇和島駅から約13km
松山自動車道・西予宇和ICから県道31号を三間町方面へ。約25分。
御詠歌 草も木も仏になれる佛木寺 なお頼もしき鬼畜人天
本尊/大日如来 宗派/真言宗御室派 開基/弘法大師 宿坊/なし
次の第43番札所・明石寺まで約16km、車で約30分