四国の霊場八十八ヵ所
土佐の国・高知県の霊場
第33番 雪蹊寺(せっけいじ)
雪蹊寺は弘法大師が開基しました。
初めの寺号を少林山高福寺といって真言宗のお寺でした。
その後、鎌倉時代に仏師・運慶と長男・湛慶が訪れ、本尊をはじめたくさん仏像を作りその多くが安置されていたので、慶運寺と改められました。
その後、荒廃ましたが、戦国時代になって土佐の豪族、長宗我部元親の援助で月峰和尚が再興しました。
そして長宗我部元親の菩提寺になって臨済宗に改宗し、寺号も元親の法号にちなんで雪蹊寺に改めまました。
明治の廃仏毀釈によって一時廃寺になりましたが、すぐに再興されています。
雪蹊寺の本尊・薬師如来坐像は運慶晩年の作です。
脇侍の日光菩薩・月光菩薩とも檜の寄木造りです。
雪蹊寺には、運慶やその子・湛慶などの作による国指定の重要文化財が数多く保存されており、鎌倉仏像の宝庫になっています。
月峰和尚が雪蹊寺を再興したときにこんな話が残っています。
托鉢に訪れた月峰和尚がこの寺に宿をとったとき、夜中に「水も浮世をいとうころかな」と和歌の下の句をすすり泣くようにささやく声がしました。
そのささやき声は翌晩も続くので、これは成仏できない霊にちがいないと思い、「黒染めを洗えば波も衣きて」と上の句をつけてやりました。
そうするとそれ以来、あやしい声はピタリと止んだといいます。
これを聞いた長宗我部元親が、月峰和尚の徳を見込んで再興の援助をしたということです。
雪蹊寺は町の中にあるこじんまりしたお寺です。
第33番 高福山 雪蹊寺(こうふくざん せっけいじ)
高知県高知市長浜857-3
JR土讃線高知駅から約8.5km
高知自動車道・高知ICから県道44号、県道34号を南へ。約30分。
御詠歌 旅の道うゑしも今は高福寺 後の楽しみ有明の月
本尊/薬師如来 宗派/臨済宗妙心寺派 開基/弘法大師 宿坊/なし
次の第34番札所・種間寺まで約7.7km、車で約15分