四国の霊場八十八ヵ所
土佐の国・高知県の霊場
第38番 金剛福寺(こんごうふくじ)
金剛福寺は室戸岬と向かい合う四国の最南端、足摺岬を見下ろす小高い丘の上に建っています。
第37番岩本寺からは、約100kmあり、四国八十八ケ所中では、最も長い区間です。
歩くと約30時間、くるまでも3時間かかります。
弘仁13年(822年)、弘法大師が嵯峨天皇(在位809~823年)から「補陀落(ふだらく、インド南岸の観音様の住む山のことで、観音浄土として崇拝されている土地)東門」の勅願を賜り、伽藍を建立し、 千手観世音菩薩を刻んで安置したのが金剛福寺の始まりです。
平安時代の後期には、すでに観音霊場として都にも聞こえるほどの信仰を集め、和泉式部も訪れています。
また、源氏一門とも縁が深く、多宝塔や諸堂宇の寄進を受けています。
五摂家のひとつである一条家の庇護を受け土佐最大の寺院として栄えました。
その後、一時荒廃しましたが、江戸時代に土佐二代藩主・山内忠義が修復再興しました。
明治の廃仏毀釈にあった後は、住職天俊等の努力により再興されました。
金剛福寺は若き弘法大師が険しい足摺の自然の中で修行したところです。
ビロウや椿の林を通って山門をくぐると、いかにも南国らしく亜熱帯性の植物が生い茂った広い境内に出ます。
境内に大師亀の像がありました。
その立て看板の説明には、
岬の突端に亀呼岩あり
大師、亀を呼び眼前に浮かぶ
不動岩に渡り、修行せりと伝えられる(七不思議のひとつ)
徳川中期の道中案内記に足摺は「ゆるぎの石に亀も浮く」とあり、お遍路さんは亀を呼び幸運が来ると喜んだ。
(頭を撫で祈念すべし)
と書いてありました。
足摺岬の周辺には亜熱帯植物が茂り、黒潮が打ち寄せ、70メートルの断崖を洗う景観には目を奪われます。
四国で最初に春が訪れるところです。
足摺岬の一角に
足摺の
岬はるけく黒潮の
海広がりさやに光りて
昭和51年皇太子殿下御歌
という石碑がありました。
第38番 磋だ山 金剛福寺(さださん こんごうふくじ)*だ(足へんに它)
高知県土佐清水市足摺岬214-1
土佐くろしお鉄道中村駅から約44km
高知自動車道・須崎東ICから国道56号を四万十市方面へ。さらに足摺岬へ。約4時間。
補陀洛やここは岬の舟のさお とるもすつるも法の磋だ山
本尊/三面千手観世音菩薩 宗派/真言宗豊山派 開基/弘法大師 宿坊/あり(要予約)
次の第39番札所・延光寺まで約70.7km、車で約1時間30分