四国の霊場八十八ヵ所
讃岐の国・香川県の霊場
第70番 本山寺(もとやまじ)
本山寺は、大同2年(807年)、平城天皇(在位806~809年)の勅願で弘法大師が本堂を一夜のうちに建てた「一夜建立の寺」と伝えられています。
本尊の馬頭観音、脇仏の薬師如来、阿弥陀如来も一夜で刻んで安置したといいます。
馬頭観世音菩薩を本尊とするのは四国霊場中、ここ本山寺だけです。
当時は七堂伽藍、24坊を有する四国有数の大寺であったといわれています。
戦国時代、長宗我部氏が讃岐を平定しようと乗り込み、そして、この寺を本陣にしようとしました。
この寺の住職は境内に押し入ろうとする兵を押し止めようとしましたが、斬られてしまいました。
兵たちは、さらに押し進んで建物の中に入ると、脇仏の阿弥陀如来の右の肘から血がしたたり落ちていたといいます。
そのため、この阿弥陀如来は、「太刀受けの弥陀」とも呼ばれています。
本山寺の本堂は、寄せ棟造り、本瓦葺きで鎌倉時代の折衷様式の傑作とされ、屋根のスロープが独特の反りを見せています。
この本堂は、国宝に指定されています。
仁王門とそのなかの仁王様も鎌倉時代のもので国指定の重要文化財となっています。
境内で、ひときは目を引く五重塔は、明治末期の建立です。
この時の住職は盲目でしたが、八十八ヶ所巡りをしていて、第59番国分寺を出て歩いている途中で目が見えるようになったそうです。
その恩に報いるために堂宇などの復興などを執り行ったといいます。
第70番 七宝山 本山寺(しっぽうざん もとやまじ)
香川県三豊市豊中町本山甲1445
JR予讃線本山駅から約1km
高松自動車道・さぬき豊中ICから国道11号を観音寺市方面へ。約5分。
御詠歌 本山に誰か植えける花なれや 春こそ手折れ手向けにぞなる
本尊/馬頭観世音菩薩 宗派/高野山真言宗 開基/弘法大師 宿坊/なし
次の第71番札所・弥谷寺まで約12.2km、車で約30分