四国の霊場八十八ヵ所
讃岐の国・香川県の霊場
第82番 根香寺(ねごろじ)
根香寺は青峰・赤峰・白峰・黒峰・黄峰の総称である景勝地・五色台のひとつ青峰にあります。
根香寺は、弘法大師が唐(中国)に留学する前に、海路の無事を祈願してこの山で草庵を結び花蔵院を建立し、五大明王を祀ったのが寺の始まりといいます。
後の天長9年(832年)、智証大師がこの地を巡錫したとき、欅の木の下に白猿をつれた山王権現が現れたと伝えられ、智証大師は香木で千手観世音菩薩を刻み、本尊として千手院を建立しました。
根香寺の本尊・千手観世音菩薩は33年に一度しか開帳されない秘仏で、国の重要文化財に指定されています。
弘法大師が創建した花蔵院と智証大師が創建した千手院を総称して根香寺としました。
また、この香木の根が香り高かったため、根香寺となったともいいます。
末寺99院を有する根香寺は、一時、後白河天皇(在位1155~1615年)の勅願所となり、隆盛を極めましたが、兵火にかかり焼失しました。
慶長年間(1596~1615年)に、藩主生駒一正が堂宇を再建するまでは衰退の一途をたどっていました。
寛文4年(1664年)に高松城の裏鬼門に当たることから初代高松藩主である松平頼重が再興し、宝暦4年(1754年)には、松平頼恭が修営を行いました。
本堂は、石段の一番上にあり、回廊式になっていて、回廊には、信者が奉納した33,333体の観音小像が並んでいます。
牛鬼像
牛鬼伝説
今から400年くらい昔、このあたりに「牛鬼」と呼ばれる怪獣が住んでいて村人をたいへん困らせていました。
そこでこの地方を納めていた殿様は、山田蔵人高清という弓の名人に牛鬼の退治を命じました。
高清は根香寺の本尊である千手観音にお願いをしました。
そのおかげで牛鬼を見つけ出し、見事に退治したそうです。
そして怪獣の角を根香寺に奉納して、その菩提をとむらったと伝えられています。
その角は、いまでもここ根香寺に残っています。
また、牛鬼の絵姿は、不思議にも魔除けの効能があるといわれるようになりました。
第82番 青峰山 根香寺(あおみねざん ねごろじ)
香川県高松市中山町1506
JR予讃線高松駅から約15km
高松自動車道・高松西ICから五色台方面へ。県道180号を道なりに。約30分。
御詠歌 宵の間のたえふる霜の消えぬれば あとこそ鉦の勤行の声
本尊/千手観世音菩薩 宗派/天台系単立 開基/弘法大師・智証大師 宿坊/なし
次の第83番札所・一宮寺まで約8km、車で約40分