四国の霊場八十八ヵ所
讃岐の国・香川県の霊場
第75番 善通寺(ぜんつうじ)
善通寺は、弘法大師の生誕の地であり、真言宗善通寺派の総本山です。
善通寺は、和歌山・高野山の金剛峯寺、京都の東寺(教王護国寺)とともに弘法大師の三大霊場のひとつです。
大同2年(807年)、留学先の唐(中国)から帰国した弘法大師は先祖の氏寺を建立することを思い立ちます。
それで、豪族だった父から荘田を貰い受け、この地に唐の八カ霊場の土砂を撒いたといいます。
弘法大師はここに留学先である唐の青龍寺を模して堂宇を建立しました。
寺号は大師の父の名である佐伯直田公善通からとって善通寺としました。
山号は、西に向かって連なる5つの山(香色山、筆山、我拝師山、中山、火上山)にちなんで五岳山とし、四国霊場に定めました。
七堂伽藍が完成したのは、弘仁4年(813年)で、この時弘法大師は金堂(本堂)を建て、薬師如来を刻み、本尊として安置しました。
永禄年間(1558~1570年)、兵火により本堂は焼失しましたが、本尊は焼失を免れました。
そして、本堂が再建された折、新たに雲長が薬師如来を刻み本尊とし、大師の刻んだ薬師如来を胎内仏としました。
善通寺は、東院と西院に別れています。
東院には、金堂・五重塔・釈迦堂・五社明神などがあります。
弘法大師が生まれた頃からあったと伝えられる樹齢1000年を超える楠の大木もあります。
西院は、誕生院と呼ばれる弘法大師個人にまつわる空間で、仁王門を入ると正面には御影堂(大師堂)が建ち、地蔵堂、本坊、宝物館などがあります。
御影堂は、礼堂、中殿、供養殿、奧殿からなり、弘法大師は奧殿で誕生したといわれています。
境内には、唐へ留学する前に弘法大師がその水面に映る自分の顔を描き母である玉依御前に贈ったという「御影の池」や、弘法大師誕生の時に使ったという「産湯の井戸」もあります。
境内でひときわ目立つ五重塔は、江戸末期から明治初期にかけて再建されたものです。
また善通寺には、国宝や重要文化財が数多く所蔵されています。
とても広いお寺で、参道には露店がたくさんあります。
土地の人々は、親しみを込めて「お大師さん」と呼んでいます。
善通寺戒壇巡り
善通寺の御影堂(大師堂)の地下は、約100mの戒壇巡りになっています。
胎内のような真っ暗な闇を壁伝いに歩き、心身を鍛えようというものです。
灯りのない通路はかなりスリリングなものでした。
第75番 五岳山 善通寺(ごがくざん ぜんつうじ)
香川県善通寺市善通寺町3-3-1
JR予讃線善通寺駅から約2km
高松自動車道・善通寺ICから国道319号を琴平町方面へ。約10分。
御詠歌 我れ住まばよも消え果てじ善通寺 深き誓いの法のともしび
本尊/薬師如来 宗派/真言宗善通寺派総本山 開基/弘法大師 宿坊/あり(要予約)
次の第76番札所・金倉寺まで約4.3km、車で約10分